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千葉県で起こったいたたましい出来事です。中学校の部活の闇が、かけがえのない命を奪いました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3868dba6552eae7f99f061f38d3a06904b2d784f
PTA広報担当
千葉県柏市の市立柏高で2018年12月、吹奏楽部に所属する2年の男子生徒が自殺した。市の第三者委員会が今年3月末に公表した調査報告書は、自殺の直接的な原因は特定できなかったとする一方、背景として部活の長時間練習を挙げ「授業時間と合わせると過労死ラインをはるかに超える。過多であったことは明らかだ」などと指摘。吹奏楽強豪校の過酷な練習実態を明らかにしただけでなく、学校側のずさんな対応も批判した。(共同通信=田中亮佑)
柏市が設置した第三者委員会の報告書
▽学校の中庭で… 男子生徒は18年12月5日午前2時15分ごろ、柏高の中庭で倒れているのを巡回中の警備員に発見された。男子生徒のかばんからは「幸せな最期を迎える」という自殺を示唆するメモが見つかり、状況から自殺したとされる。前日も部活動の練習に参加、部員たちは第三者委の調査に、普段と変わった様子はなかったと振り返る。 男子生徒は小学生から吹奏楽を始め、中学生からはパーカッションを担当。コンクールでの受賞経験もあり、マーチングをやりたいという思いから吹奏楽部の強豪校の柏高に進学した。父親には、将来は音楽関係の仕事に就きたいと話していたという。 ▽休日の練習は午後9時を過ぎることも 報告書は、男子生徒の自殺の原因とみられる要素として「学業不振、異性問題、教職員からの指導、いじめ問題、部活への参加」と複数挙げたが、「どれが直接的な原因になったとは特定できない」と結論付けた。その上で、当時の生徒が自身の悩みに適切な対処ができなくなるまで思考力や集中力などが低下していたと指摘。その要因として強調したのが、部活の長時間練習だった。
柏市の第三者委員会が開いた記者会見
部の正式な練習時間は平日が午後4~7時、休日は午前8時~午後5時ごろとされる。だが報告書によると、時間内に終わらないことが多く、休日は午後9時を過ぎることも。さらに「自主練」として朝練や昼練、居残り練習にもほとんどの生徒が参加し、事実上義務付けられていた。 結果として平日で約5時間半、休日で約11時間の練習が行われていたと認定。「平日で2時間程度」などとした国の文化部ガイドラインを大きく超過していた。1カ月で計192・5時間となり、生徒が受ける授業時間(平日7時間と仮定)も含めると計346・5時間に。これは、労働者の「過労死ライン」とされる1カ月当たりの総労働時間(240時間)を大幅に上回っていた。 ▽自殺の後のチャリティーコンサートで… 報告書は、生徒が亡くなった後の学校と柏市教委の対応にも苦言を呈した。まず取り上げたのは、吹奏楽部が毎年12月に開催している「チャリティーコンサート」に関する対応だ。
コンサートは3年生にとって事実上最後の重要なイベントとされ、この年は15、16日と22日から24日までの計5日間にわたって予定されていた。部では、男子生徒の死亡が判明した翌日の6日に練習を再開、この日の練習中には複数の部員が泣くなどし、動揺が広がっている様子だったという。報告書は、再開前に生徒の意見を一切聞いてないなどとして「生徒への心のケアという観点から疑問が残る」とした。 第三者委員会の聞き取りに対し、部員からは「男子生徒が抜けちゃっていないのにこのまま普通に何も変わったことがなかったかのようにやるのが結構つらかった」「男子生徒のことは触れるなみたいな暗黙の了解みたいなのができていた。誰も話題に出しちゃいけないみたいな感じになっていた」などの意見も出た。 ▽教頭が遺族に「明けましておめでとう」 第三者委員会が次に問題視したのが学校側の遺族対応だ。この点、時間をさかのぼり調査のきっかけを振り返る必要がある。
柏市の第三者委員会は報告書を市側に答申
遺族は遅くとも亡くなった翌年2月には、第三者による調査を求めていたが、市教委側は調査をするための手続きがないと誤認して第三者委員会の設置を拒んだ。結局、第三者委の設置は、遺族の代理人弁護士が要望書を提出した後で、生徒の死から1年が経過していた。 こうした経緯をたどって作成された報告書は学校側の対応を厳しく非難した。「いじめの事実がない段階では第三者委員会を設置できない」などとする説明は誤りだったと認定。学校生活アンケートで生徒が「からかいがあった」と申告しており、いじめの疑いがあると判断して十分に設置できたと指摘した。 他にも(1)自殺から1カ月もたたないうちに吹奏楽部の交流サイト(SNS)に楽しげな様子を掲載した(2)教頭が翌年の遺族対応の際に「あけましておめでとうございます」とあいさつした(3)校長が人からもらった菓子折りを遺族に贈った疑いがある―などの一般的な配慮を欠いた対応があったと問題視した。
第三者委員会は19年12月に設置されたが、当時の記憶が曖昧となっている人も多くいた。また、任意で行われた教員への聞き取りに対し、複数の教員が一時拒否していたことも明らかとなった。 ▽悪質なデマも 第三者委員会は今年3月25日に市教委に答申し、記者会見した。第三者委員会の委員長を務めた福原亮弁護士は会見の終盤「部員の保護者から、亡くなった生徒は再婚家庭で連れ子だったため問題を抱えていた」という事実無根の情報提供があったと打ち明けた。福原弁護士は「このような言説は遺族や再婚家庭の生徒も傷つける」と強調し、冷静に状況を見極めてほしいと訴えた。 ▽少しは真相に… 報告書を受け取った父親も記者会見し、「少しは真相に近づけた。吹奏楽部の現状は、多くの生徒の犠牲で成り立っていることを、全ての大人たちは気付かなければならない」と訴えた。取材に対しては「自責の念もあり、最後にしてあげるのは真相を究明することだと思って踏ん張ったがきつかった」と本音を明かした。
遺族代理人の児玉勇二弁護士は「ブラック部活の問題点をいま一度検証し、二度と同様の事件が起きることのないよう改善してほしい。報告書の内容は全国の子どもたちに共通する問題提起であり、全国で共有されることを願う」と述べた。
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▽こころの健康相談統一ダイヤル 0570(064)556(対応の曜日・時間は自治体によって異なります)
▽よりそいホットライン(24時間対応) 全国から=0120(279)338